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屋久島行記

2008.12.31 未分類
縄文杉
屋久島は、雨の多い島である。木々、岩を問わず苔むす深い谷と深い森を有する。
縄文杉に代表される樹齢何千年という屋久杉の森は、世界遺産にも登録され、日本各地から、また世界各国からこの太古の空間を体感する為にたくさんの人々が訪れる。そして、この森に魅せられ移住してきた人も少なくない。

仕事納めの挨拶を済ませ、足早に地下鉄に乗り込む。年の瀬の慌ただしさが充満した車内で、神秘の森への期待を膨らませていた。帰宅し身支度を整え、夜行バスの発着場へ急ぐ。先に到着していたDOPPOさんと合流し、20時過ぎに大阪を出発する。迷惑な酔っぱらいにバスの運行は乱されたが、定刻通り朝8時に鹿児島の港に到着する。ここで前日入りしていたRINさんと合流しフェリーに乗船する。
フェリーにて
そして無事集合の祝杯にビールを開けた。爽やかな朝の中での酒であったが自然の流れだったことは面白く思えた。到着までの数時間2等船室で仮眠を取り、目を覚ますと前方に屋久島が出現していた。
予約していたタクシーに乗り込み、港近くのスーパーで酒や食料の補充をして白谷雲水峡の登山口に到着する。確かに悠久の森を楽しむ散策路はあるが、この季節にしては予想外に多くの観光客がいた。初日は2時間ほど雲水峡の原生杉を楽しみながら歩く。
雲水峡まで
白谷山荘にて
15時半に白谷山荘に到着し、夕方まで宴会をして屋久島の夜を楽しんだ。この日、我々以外に4組のパーティーが同宿した。



入山2日目は、天気予報通りの雨だった。しっかりと雨具を装着し7時半に出発する。屋久島は、雨の多い島。本来の屋久島を歩く。
雨のトロッコ道
ウィルソン株から
屋久杉の中を
しっかりと雨が降る中、辻峠を越えトロッコ道を歩き、大株歩道に入っていく。ウィルソン株の中でハートを見て、大王杉、夫婦杉を過ぎ、本日のメインである縄文杉に到着する。
縄文杉全景
観光客
こんな季節なのにすごい人である。根を守るために備えられた展望デッキには、大人数のツアーグループが3・4パーティーいた。口々に「すごい、すごい。」と言い、写真を撮っていた。少し興ざめになった。そしてなんだか縄文杉が可哀そうに思えた。見世物となり賑々しくなってしまったこの悠久の森から逃げ出すことは出来ない。屋久島のシンボルとしての縄文杉は、この島の観光産業の一翼を担っていることを改めて思い知らされた感じだった。
高塚小屋で昼食を取り、14時過ぎに新高塚小屋に到着する。全身ずぶ濡れで、雨具などを乾したりして、落ち着くまでひと仕事だった。小屋にはすでに4組程のパーティーがいて、中にはオーストラリアやニュージーランドから来た登山者もいて、流石に世界遺産だけあってインターナショナルな面子だった。結局10パーティー程が同宿となり、何グループかと酒を飲み交わし楽しい夜を過ごした。

宮之浦岳のピークを踏む日、残念なことに濃い霧と雨に包まれた一日だった。7時過ぎ昨日と同じく雨具を完全装備して出発する。標高が上がるに従い流石に寒くなる。オプションの永田岳も展望が望めないためにパスをする。期待した白銀の宮之浦岳は無く、ただ冷たい雨が降りつけていた。寒さに震えながらピーク写真を撮り下山。
宮の浦岳
この日は、淀川小屋にて宿泊予定だったが、永田岳や黒味岳をパスすることで予定よりも早く小屋に到着すること、そして、この天候に山を諦め屋久島の旨い酒と肴を楽しむことに気持ちを切り替えた。途中、タクシー会社に電話を入れ、淀川登山口の配車で予約を入れた。12時半過ぎに淀川小屋に到着し、途中から一緒になったオーストラリア人2人と女子大生1人のグループと共に暫しの休憩。記念撮影の後、彼らとそして翌日尾野間へ下るRINさんと別れた。
淀川小屋にて

淀川登山口から予約したタクシーに乗り込む。窓越しに雲と霧に包まれた深い森を見ていた。残念ながら魅せられなかった。もしかしたら雨のせいだったからかもしれない。けれど心の奥底に入ってきたものは、本当の森とは乖離した別のトコロを歩いた感じがしたからだ。未だ人を寄せ付けぬ凛とした森と、その傍らに痛みを知りつつも解放されていく森。その隔たりにある何かが、屋久島の自然に触れさせることを妨げたように感じた。
そして観光化された悠久の森の中で、縄文杉は今なお時を刻んでいる。
屋久島
DOPPOさんのHPへ
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